本記事は、開発中の夜間AI電話サービス「ルスバンAI」の運営者による調査コンテンツです。公表情報のみで構成しています。

公開日: 2026年9月13日

賃貸管理会社に24時間対応の法的義務はあるか?賃貸住宅管理業法・標準契約書・修繕義務を整理【2026年版】

「入居者対応は24時間やらないといけないのか」。管理会社の現場でよく出る疑問を、賃貸住宅管理業法・国土交通省の標準管理受託契約書・民法606条という条文レベルの根拠から整理します。本記事の数字・事実はすべて公表情報に基づき、末尾の出典一覧で確認できます。

免責事項(必ずお読みください)

  • 本記事は法的助言(リーガルアドバイス)ではありません。公表されている法令・国土交通省資料・解説記事を一般的な情報として整理したものです。
  • 個別の契約・紛争・責任の有無の判断は、事案ごとの事情(契約書の記載、経緯、地域の実務)に左右されます。具体的な事案については必ず弁護士等の専門家にご相談ください
  • 法令・標準契約書・ガイドラインは改正されることがあります。実務での利用にあたっては、必ず出典元(e-Gov・国土交通省サイト)で最新の条文・書式をご確認ください
  • 筆者は弁護士・司法書士等の法律専門職ではなく、夜間AI電話サービスを開発中のエンジニアです。その立場を踏まえてお読みください。

賃貸住宅管理業法は、24時間の入居者対応を義務付けているか?

義務付けていません。管理業法が定める「管理業務」に対応時間帯の定めはなく、24時間365日対応を管理会社に義務付ける法令はありません[1]。

賃貸住宅管理業法が定める「管理業務」(第2条第2項)に、対応時間帯に関する義務はありません。さらに国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、「入居者からの苦情対応のみを行い賃貸住宅の維持及び修繕(維持・修繕業者への発注等を含む)を行っていない場合は、賃貸住宅の維持保全には該当しない」と明記しています[1]

つまり電話・苦情対応は、単体では法定管理業務の中核ですらない――これが条文上の位置付けです。法が求めるのは、次のような手続き面です[1]

国交省の標準管理受託契約書に「24時間対応」の定めはあるか?

ありません。標準管理受託契約書の全文に「24時間」「夜間」「時間外」の文言はなく、対応範囲は契約で自由に決める事項です[2]。

国土交通省の「賃貸住宅標準管理受託契約書」を全文確認しても、「24時間」「夜間」「時間外」という文言はありません[2]

よく誤解されるのが第11条(緊急時の業務)です。これは災害・事故等の際に、委託者(オーナー)の承認を受けずに業務を実施できるという事後承認の権限規定であり、「夜間も受付せよ」という義務規定ではありません[2]

苦情・問い合わせ対応をどこまで受託するかは頭書の記載事項、すなわちオーナーとの契約で自由に決める事項です。裏を返せば、「どこまでやるか」を契約書で明確にしていないこと自体がリスクになり得ます。

義務がないなら、夜間の水漏れは翌朝まで放置してよいのか?

放置にはリスクが残ります。民法606条の修繕義務に時間外の猶予はなく、対応の遅れで被害が拡大すれば紛争リスクが残るためです[5]。

民法第606条により、賃貸物の修繕義務は賃貸人(オーナー。サブリースの場合は転貸人である管理会社自身)が負います[5]。夜間に水漏れが発生した場合、「受付が翌朝だから修繕義務も翌朝から」とはなりません。

対応の遅れで階下への被害が拡大すれば、その分の損害を巡る紛争リスクはオーナー側・管理側に残ります。整理すると、法的な構図は次の一文に尽きます。

だからこそ実務では、「全件を24時間受ける」義務論ではなく、「緊急案件だけは夜間でも検知できるか」という体制論が論点になります。

法的義務がないのに、なぜ「24時間対応」が当たり前になりつつあるのか?

入居者向け24時間サポート商品の普及、オーナー営業上の差別化、紛争予防という3つの実務的動機が、期待水準を押し上げています[7][8]。

市場慣行としての期待水準は、次の3つの理由で上がり続けています。

結局、管理会社はどう判断すればよいのか?

夜間対応はコンプライアンス問題ではなく経営判断の問題です。判断には、自社の夜間入電の実件数を記録で把握することが先に来ます[1][2]。

ここまでを整理すると、次のようになります。

論点結論根拠
24時間対応の法的義務ない(時間帯の定めなし)賃貸住宅管理業法・解釈運用[1]
標準契約書上の義務ない(契約で決める事項)標準管理受託契約書[2]
修繕義務の時間外の猶予ない(放置の結果責任は残る)民法606条[5]
市場の期待水準上がり続けている24時間サポート普及[7][8]

「法的義務ではないが、市場慣行としての期待水準は上がり続けている」。つまり夜間対応はコンプライアンス問題ではなく、経営判断の問題です。やる・やらない、どこまでやるかを決めるには、コストと選択肢を並べて比較する材料と、自社の実件数の記録が要ります。

選択肢別の費用相場は「夜間電話の外注はいくらかかるか」の記事で、体制を変える前の棚卸しは10項目チェックリストの記事で扱っています。


出典

番号は出典つき全文レポートの出典一覧と共通です。URLは2026年9月時点で確認したものです。

  1. 国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001474894.pdf
  2. 国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf
  3. 民法 第606条(賃貸人による修繕等)e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
  4. ログミーFinance「JBR 決算説明」(安心入居サポート会員110万人突破) https://finance.logmi.jp/articles/376976
  5. LIFULL HOME'S「賃貸の24時間サポートは必須?」(相場: 2年で15,000〜20,000円) https://www.homes.co.jp/cont/rent/rent_00352/

注: 事業者由来の数字([7]など)は各社の自己申告値です。

ルスバンAI運営者(大阪のフリーランスエンジニア・本サービスは開発中)奥田浩太郎

賃貸管理会社向けの夜間AI電話受付「ルスバンAI」を開発中。本コラムは、開発の前提として公表情報を整理した調査コンテンツであり、実測値は含みません。

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